第3回(2015年)

第3回 東日本大震災復興支援「真夏の第九」チャリティーコンサート

 日時:2015年8月16日(日) 開演14:00

 会場:渋谷区文化総合センター大和田 さくらホール

 主催:Aurora

 共催:槌音プロジェクト、NPO法人Mother Board「日本の道」

 指揮:阪本正彦

 演奏:Orchestra Aurora &Chorus Aurora

 独唱:Sop.加藤千春、Alt.小谷円香、Ten.渡辺大、Bar.増原英也

 曲目:J.シベリウス/交響詩『フィンランディア』、L.v.ベートーヴェン/交響曲第9番『合唱付き』

 

全席自由席 1,000円

『先生、オーケストラで第九を歌いたいんだ』

この一言がきっかけでした。やるならば、チャリティー公演にしようと、震災で被災した大槌町に人々が集まれる場所を!という「槌音プロジェクト」と出会い、昨夏公演を敢行。歓喜の公演終了まもなく、合唱の方々のまた歌いたいとの旨を受け、今夏はアヴェ・ヴェルム・コルプスなど(オケはMahler 5)を。そして再び、合唱の方々からのもう一度第九を!との強い思いを、来夏に託します。


2015年3月10日 facebookページ投稿より

 

先日、チャリティー支援先の町である岩手県の大槌町を訪問させていただきました。

勿論、被災地は大槌町に限りませんが、被災地のひとつとしてのレポートとしてご覧ください。

 

 

朝早く家を出て、新花巻で釜石線に乗り換え、釜石まで。そこから先はまだJR山田線が復旧しておらず、バスかタクシーでの移動になります。今回は、「槌音プロジェクト」の臺(だい)さんのお車で案内していただきました。ありがとうございました!

 

釜石に到着して、まずは指揮の酒井さんからご紹介いただきました洋菓子「かめやま」さんへ。社長さんはトランペットを専門で勉強されていた方でもあり、音楽支援に大いに情熱を持ち、様々な繋がりを大事にされていました。

 

車でトンネルを幾つか抜けると大槌町に入るのですが、トンネル内は土煙がもうもうと立ちこめています。更地や盛り土、また三陸北縦貫道路整備のためのトラックが頻繁に行き交うためです。

 

町内に入ってまず目に付くのは、かつての居住区が防波・防潮のための区域となり進められている盛り土。それより内陸の居住区として整備される更地と盛り土。復興作業に努める作業員の方々の車、その駐車場、そして絶えることのないトラックの往来。とにかくまずは道路を、そして本当の復興はこれからなんだと実感せざるを得ません。

 

城山公園から望むかつての町の中心部は、ようやく住宅復興への第一歩へという感じでしょうか。壊れた住居や津波で破壊された瓦礫ばかりだった頃を思えば、更地に整備され、住居を建てるために盛り土がされている状況は、これでも進んだほうなのかもしれません。

 

臺さんは、移動の合間にも、津波で亡くなられたご友人やご近所の方々などのお話をしてくださいました。4年という月日があるからこそ語れることもありますでしょう、ここでは全てを書き切れないお話でした。避難のための鐘が津波に呑まれるまで叩きつづけられていたこと、役場の話、あと少し高いところへ避難していたら等々。。。

 

一方、居住区が湾の近くから奥へと移動し、それに合わせてかつての商店街の皆さんも、その近くの少し広々とした場所で元気にお店を営んでいらっしゃいます。

 

 鉄道の復旧には、JR山田線復活に三陸鉄道がこれから引き継いでやっていくとの記事が先日ありました。

 実は、津波で落ちた陸橋はまだそのままです。宿泊したホテルから近い浪板海岸駅から先、釜石に向かう町内の線路は、波でさらわれ、失われたままなのです。ホテル「はまぎく」も、現在は綺麗に通常に泊まれます(ここのロビーでは、ボランティアによる演奏も行われています)が、津波で被災しています。

このホテルから浪板海岸駅方面を望むと、津波の被害にあった高さが人目で分かります。建物が残っているか残っていないかなのです。。。 ちなみに、このホテルすぐ横の松林は生き残っています。

 

復興住宅も建っていますが、何より交通の便がまだまだなのと、お年寄りなど単身入居の方が歩いて生活必需品を買いに行けるお店が有りません。逆に言えば、買い物には車が不可欠、また高台に移ることにより、自転車の活用も困難になります。沢伝いの平地に住居があれば、まだ自転車の活用もできますが。若い方の雇用も含め、コミュニティバス等復興住宅を中心に回る移動手段、または逆に移動施設も必要でしょう。そして漁業だけでなく、観光の地としても早い復興を願います。

トラックが行き交う今の状態から、コミュニティバスや自家用車、自転車、そして観光バスが行き交う町へと。

 

これから数年かけて、駅と線路の復旧、そして駅から内陸に向けて居住区の整備が進んでいくことでしょう。その中で「槌音プロジェクト」も活かされていく目処が立ったそうです。

 

 

この2015年夏も、三年目となりますが、「槌音プロジェクト」支援を掲げて、また震災復興支援の様々な地域の中のひとつの形として「真夏の第九」チャリティーコンサートを開催致します。

演奏メンバー(特に弦楽器)はまだまだ募集中です。

どうぞ宜しくお願いいたします。

 

 

〈Orchestra Aurora とは〉

団名のAuroraは『夜明け』を意味するイタリア語です。『明けない夜はない、必ず光がやってくる』という団員一同の希望が込められています。指揮に阪本正彦氏を迎え、これまでに震災復興チャリティーコンサートとして2回の演奏会を開催いたしました。第3回の演奏会は、第1回で反響の大きかった「真夏の第九」に再び取り組みます。

人々が集う拠点としての「槌音プロジェクト」(http://tsuchioto.com/)(https://www.facebook.com/tsuchioto)を支援しております。

 

〈共催団体の紹介と支援先の紹介〉

NPO法人Mother Board「日本の道」は東日本大震災直後に建築家 丸谷博男が設立しました(2011年8月法人認可/東京都世田谷区)。ボランティア・スタッフ 竹森道夫と、練馬区の市民コーラス「コーロ・まざーぐうす」などが協力して、岩手県大槌町で“顔の見える継続的”活動を行っています。2012年秋には大槌町に「槌音ホール」の建設を提案、現地活動グループとして臺 隆明氏を中心とした『槌音ホール・プロジェクト』を立ち上げました。現在、大槌の民俗芸能と音楽を軸に、文化および人間交流の場として人々を引き寄せるホール建設を目指して活動中です。また、「槌音ホール」の運営基盤とするべく、地産池消のバイオマスエネルギーを活用する『大槌創エネプロジェクト~人と経済と豊かさが循環する持続可能な町づくり』にも取り組んでいます。このホールの建設費は、理念に賛同した多くの音楽家の皆様による、有志やチャリティーコンサートでの収益を通して集められています。


2015年8月4日 facebookページ投稿より

 

2月末の訪問から約5ヶ月振り二度目の大槌町訪問でした。現状はどうなっているのか、前回と同じく槌音プロジェクト代表の臺(だい)隆明さんのご案内で、見てまいりました。

 

釜石から大槌町へはまだ鉄道復旧には至らず、バスか車での移動となります。

釜石から大槌町に向かうトンネル内は相変わらず土を運ぶトラックで土煙が絶えません。

 

冬にはまだ撤去中だった水門などの被災物がかなり片付けられ、全体として見晴らしは良く感じます

(3月10日付の記事を参照ください。https://www.facebook.com/orchestra8aurora/posts/370065379848992)。

仮設道路から左手、かさ上げされて新しい道路となる盛り土の距離が延びてはいますが、盛り土の強度を増すのに時間が掛かるため、新しい動脈となる道路が出来始めるのは半年ほど先のようです。

漁港沿いに残る被災した防潮堤の撤去は進み、冬に見た印象とも変わってきています。

漁港一部では、製氷工場も出来たおかげで漁船からの水揚げも進むようになったそうです。また、以前からあった船のドックも再開したようです。

 

冬にはようやく瓦礫を片付け更地になったばかりでしたが、盛り土された区画が拡大していました。ただ、先ほど記しましたように、固まらないと家を建てる事が出来ません。まだまだ時間が掛かりそうです。

 

前回に比べ、コミュニティーバスを多く見かけました。仮設住宅や復興住宅を含め、町民の皆様の居住区が山側へ幾つにも分散し奥まっているため、欠かせない足の一つです。

小学生・中学生が通う仮校舎へも、マイクロバス10数台が、48ヶ所に分散する子どもたちを送迎しています。

 

現在、大槌町では町長選と町議会選が始まったところで、行政的には一休み。臺さんの御尽力、御人望もあり、プロジェクトとしては道路や駅、町づくりと共に進行していくだろうとのことでした。

 

何より幾つものプロジェクトを抱えていらっしゃる臺さんですが、そのパワーには圧倒されるものがあります。今の若者たち、そして子どもたちのために、未来を見据え、例え上や同世代に呼応する者がいなくても、自分はやり抜きますとの強い決意。東北人の男気、一徹さを感じますし、地域の為に一人立つ精神を具現されている、尊敬しても仕切れない、立派な庶民です!

今回は時間が無く立ち寄れなかったのですが、釜石の洋菓子「かめやま」のご主人も、音楽支援に強い情熱を持つ、そんな温かみのある東北人の一人です。

 

地震による地盤沈下と津波により、幾つかあった砂浜がだいぶ無くなったそうですが、残っている砂浜では今月に入り海開き。

臺さんからお聴きしたエピソードですが、震災後、海に近寄ろうとする、ましては入る子どもがいなかった…昨年ドイツから交流で訪れた高校生たち、日が経てば言葉は分からずとも仲良くなれますでしょう、そんな彼らが砂浜から喜び勇んで海に入り遊ぶ姿に、決して自分から海に近づこうとしなかった大槌の子どもたちも自然と海辺での水遊びを一緒に楽しんでいたそうです。。。

 

大人たちが日々の生活に追われる中、子どもたちが必要としているのは、同世代はもちろん、大人たちとのコミュニケーションの場のようです。もちろん大人たちにも必要でしょう。

そんなコミュニケーションツールのひとつとして、音楽の持つ偉大な力に注目し、人が集まれる場としての音楽ホール実現を謳う「槌音プロジェクト」。まだまだ時間は掛かるでしょうが、末長く応援していきます。

そして、ホール落成の暁には、このauroraのメンバーでバスを借切り大槌町に向かい、第九を高らかに演奏させていただきます!

 

臺さん、今回もありがとうございました!

 

さぁ、みなさん、最高の演奏会にすべく、頑張りましょう♪

演奏会から早1週間が経ちました。

感動に溢れた演奏会でしたが、三回目とはいえ、道のりは険しいものでした。ただ、メンバーみんなが一つの目標に向かい、ステージ上で一つになれたのかなと思っています。なにより終演してからの会場の皆さんの笑顔が、大成功を物語っていたような気がいたします。

昨秋の下準備から本番まで、スタッフの皆さんのお力添えが頼もしかったです。本当にありがとうございました!

 

またパネル展示に快くお写真をお貸しいただいた「槌音プロジェクト」代表の臺さん(これからは一般社団法人 槌音

代表理事 臺 隆明 さんですね!)、当日のパネル展示をし切ってくださった竹森さん、グッズ販売の皆様、舞台監督の本野さん、受付やステージスタッフで活躍してくださった皆様、そして声と楽器の素晴らしい響きを奏でてくれたメンバーの皆様、ご来場いただきました皆様に感謝申し上げます!

 

また来年もやります。大槌町に地元の方々が憩いの場として集まれる音楽ホール建設のその日まで、を目標に。

 

来年2016年は、8月21日(日)に開催致します。

どうぞ皆様、宜しくお願いいたします♪

 

 

のちほど、第3回公演実行委員長の山内より、第3回公演について御礼のご挨拶があります。

こんにちは。

第3回東日本大震災復興支援「真夏の第九」チャリティーコンサート実行委員の山内周三です。

 

8月16日に行われました演奏会、沢山のお客様にご来場頂きまして、誠に有難うございました。

 

そして今回のチャリティーコンサートでご来場の皆様よりお預かりさせていただきました募金の総額は、

 

【117,046円】

 

となりました。皆様のご協力、心より感謝致します。

楽団の方からも【250,000円】の寄付を致しました。

 

演奏会を開催するにあたり、指揮の阪本先生、合唱指導とソリストと演奏会運営の中心となってくださった小谷先生、ソリストの方々、ステージマネージャーの本野さん、演奏会スタッフの方々、そしてオーケストラと合唱の皆様、

この他にも沢山の方々にご協力いただきました。本当に有難うございました。

 

既に来年の第4回演奏会に向かって動き出しております。皆様の変わらないご支援のほど、何卒宜しくお願い申し上げます。

 

山内周三